住宅にかかる優遇税制について①

今回は住宅の売却の際に利用できる制度についてみていきます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除):所得税


住宅ローンを組んで住宅を取得した場合に、毎年の所得税・住民税が一定額控除される制度で 居住開始年分から最長13年間にわたって適用可能です。

主な適用条件として、
・自己の居住用として住宅を取得すること
・年末住宅ローン残高があること
・所得が3,000万円以下であること
・ 床面積が50㎡以上であること になります。

控除の計算方法は、
年末のローン残高×控除率(最大1.0%)=控除額  となります。
※控除限度額は、取得時期や住宅の性能等により異なります。

初年度は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。
年末調整時は、「住宅借入金等特別控除申告書」の提出が必要になります。

<国税庁HPより抜粋>

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例:所得税

居住用財産(マイホーム)を売却した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。

適用条件は
・譲渡する家屋に実際に住んでいたこと
・譲渡する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
・売却前まで本人またはその配偶者の居住用として使用していたこと
・売却することがやむを得ない事情(転勤による転居、債務整理、老人ホームへの入居等)によるものであること になります。

原則として1生涯に1度きりであり、
・居住用財産を一時的に貸し付けていた場合
・売却前に別の住居に転居してから3年超経過している場合
・過去に同じ特例を使用している場合(原則として一生に一度限り) は適用できません。

確定申告の際に、添付書類として下記の書類が必要となります。
・売買契約書の写し
・登記事項証明書
・住民票の除票

マイホームを売ったときの軽減税率の特例:所得税


マイホームを売却した際の長期譲渡所得に対して、さらに軽減された税率が適用される制度で、
上記の3,000万円特別控除との併用が可能な制度です。

適用要件は下記になります。
・売却前に本人または配偶者が実際に住んでいた家屋であること
・売った年の1月1日時点で、所有期間が10年超であること
・売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと
・親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと
・売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと(3,000万円の特別控除の特例は除く)

適用を受ける場合の税額の計算方法は下記になります。
6,000万円以下の場合:課税長期譲渡所得×10%
6,000万円超の場合:(課税長期譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円

居住用財産の買換え特例:所得税


マイホームを売却し、新たにマイホームを購入する場合に、売却による譲渡益への課税を繰り延べられる制度です。

適用にあたり、下記の条件を満たす必要があります。
売却する住宅(譲渡資産)

・所有期間が10年超であること
・売却前に本人または配偶者が実際に住んでいたこと
・売却価額が1億円以下であること

購入する住宅(買換資産)

・床面積が50㎡以上であること
・売却した年の前年から翌年末までに取得すること
・取得の日から2年以内に居住を開始すること

譲渡益の課税繰延べ額の計算は下記の通りになります。
繰延べ額 = 譲渡益 × (買換資産の取得価額 ÷ 譲渡資産の譲渡価額)
※買換資産の取得価額が譲渡資産の譲渡価額以上の場合は、全額繰延べ可能

<国税庁HPより抜粋 ※減価償却費は未考慮>

適用にあたり、下記がポイントとなります。
・買換資産を取得後3年以内に譲渡した場合は、繰り延べた譲渡益の課税が発生
・確定申告は必須
・買換資産が未完成の場合でも、請負契約を締結していれば適用可
・住宅ローン控除との併用も可能

おわりに


家屋にかかる優遇税制について、いかがでしたでしょうか。時価も引き続き同税制について確認をしていきます。