贈与税の時効について

今回は贈与をしたけど申告を忘れていた…ということがある場合の対応についてみていきたいと思います。

〇贈与税について

年に110万円を超える贈与を受けたとき、すなわち、基礎控除を超える場合は贈与税の申告が必要になります。

贈与税の申告は原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までに申告する必要があります。

〇贈与税の申告漏れ

では、申告を忘れた場合はどうなるのでしょうか?

まず、贈与税申告における時効は原則として法定申告期限から6年で、偽りその他不正の行為がある場合は7年以内となります。

この期間を過ぎた場合は、税務署は課税の処分を行うことができなくなります。

つづいて、時効の起算点について、法定申告期限の翌日から起算となります。

例えば、2024年中の贈与の場合

  • 法定申告期限:2025年3月15日
  • 時効起算日:2025年3月16日

なお、下記に該当する場合は、時効の進行がリセットされ、ゼロからスタートすることになります(時効の中断)。

①課税庁側の中断事由

  • 更正・決定
  • 納税の告知
  • 督促
  • 差押え

②納税者側の中断事由

  • 納付
  • 納税申告
  • 更正の請求

なお、特殊なケースとして下記の場合があります。

財産の所在が不明な場合

  • 財産の所在が明らかになった日から2年間は更正・決定が可能

国外財産に関する書面の提出がない場合

  • 更正・決定の期限が3年延長

〇申告時の対応

贈与税の申告忘れがわかった場合の対応について確認しましょう。
まず気づいた場合は、期限後申告となり

  • 納税地の税務署に申告書を提出
  • 期限後申告書である旨を明記
  • 必要書類の添付 の3点に留意して申告を行いましょう。

必要書類は下記の通りになります。

  • 贈与税の申告書
  • 財産の明細書
  • 贈与契約書のコピー
  • その他関係書類

申告時には、下記の通り加算税等が加算されます。

①無申告加算税

  • 原則:納付すべき税額の15%
  • 納付すべき税額が50万円超の部分:20%

②延滞税は下記の通りにかかってきます。

  • 納期限の翌日から納付日まで
  • 年7.3%(2024年の場合。変動あり)

軽減措置として、下記のものがあります。

自主的な申告の場合

  • 加算税が軽減される可能性
  • 事情によっては加算税が免除される場合も

修正申告との違い

期限後申告は修正申告より加算税が重いため、できるだけ早期の対応が有利になります。

〇申告を忘れないように注意が必要なケース

①高額な贈与

  • 追徴税額が高額になる可能性
  • より慎重な対応が必要

②不動産の贈与

  • 登記との整合性
  • 固定資産税との関係

③複数回の贈与

  • 暦年課税の基礎控除との関係
  • 相続時精算課税の検討

〇今後の予防策

今後の予防策として下記が考えられます。

    ①記録の管理

    • 贈与の記録を確実に保存
    • 申告期限のカレンダー管理

    ②専門家との連携

    • 税理士との定期的な相談
    • 贈与計画の策定

    〇終わりに

    今回は贈与税の時効についてみていきました。

    さらに詳しく知りたい点や、具体的なご質問がございましたら、お申し付けください。