今回からはと相続、贈与税における土地の評価方法について解説をしていきます。
目次
Toggleなぜ評価が必要なのか?
相続税や贈与税における土地の評価は、課税の公平性と適正な税額算定のために極めて重要です。
土地は相続や贈与における主要な財産の一つであり、その価値を正確に把握することが税務上不可欠となります。評価方法を統一することで、恣意的な財産評価を防ぎ、相続人や贈与者間の税負担の公平性を確保できます。また、路線価や倍率方式などの客観的な評価基準を用いることで、土地の市場価値に近い金額を算定し、適正な課税を実現します。
さらに、土地評価は相続税や贈与税の基礎となる課税対象額を決定する重要な要素です。不動産の価値を正確に評価することで、相続税の総額や、非課税枠、基礎控除額の判定が可能となります。これにより、税務当局は適切な税額を算出し、相続人の税負担を公平かつ透明性のある方法で決定できるのです。
評価方法について
土地の評価方法については、路線価方式と倍率方式の2種類があります。
① 路線価方式
路線価方式は、固定資産税評価における土地の価値を算定する方法の一つで、各路線(道路)ごとに設定された標準的な土地の価格(路線価)を基準に、個々の土地の価格を評価する方法です。具体的には、路線に接する土地の形状、奥行き、接道状況などの要因を考慮して、基準となる路線価から個別の土地の価格を算出します。国土交通省が毎年発表する路線価は、主に相続税や贈与税の基礎となる土地の評価に使用され、その地域の土地の標準的な価値を示す重要な指標となっています。この方式により、同じ路線上の土地は比較的均一な価格評価が可能となり、土地の価値を客観的に判断する基準として広く利用されています。
② 倍率方式
倍率方式は、固定資産税評価における土地の価格を算定する別の方法で、近隣の取引価格や路線価を基準に、一定の倍率を乗じて土地の価格を評価する方法です。具体的には、実際の取引価格や路線価に一定の倍率(通常0.7倍から0.8倍程度)を乗じることで、その土地の評価額を算出します。この方式は、路線価方式が難しい地域や、取引事例が少ない地域で特に活用されます。倍率方式の利点は、比較的簡易に土地の価格評価ができることであり、相続税や固定資産税の算定に広く用いられています。ただし、地域の特性や個別の土地の状況を詳細に反映できない場合があるため、路線価方式と併用されることも多い評価方法となっています。
路線価・倍率の調べ方
土地の路線価・評価倍率を調べる方法は、主に以下の3つがあります。
第一の方法は、国税庁のウェブサイトを利用する方法です。国税庁ホームページの路線価検索サービスでは、全国の路線価を無料で確認することができます。地図上で対象となる土地の場所を特定し、その路線の路線価を調べることができます。
下記国税庁のサイトより、路線価を確認することができます。
同様に倍率もこちらのウェブサイトで確認することができます。
https://www.rosenka.nta.go.jp/
第二の方法は、法務局や市区町村の固定資産税課で直接閲覧する方法です。窓口で専門の担当者に相談し、具体的な路線価の情報を入手できます。
第三の方法は、不動産会社や不動産鑑定士に問い合わせる方法です。専門家は最新の路線価情報や、その土地の詳細な評価について詳しい情報を提供してくれます。路線価は毎年1月1日に更新されるため、最新の情報を確認することが重要です。相続税や固定資産税の算定、不動産取引の参考値として、路線価は非常に重要な指標となっています。オンラインでの調査が難しい場合は、専門家や行政機関に直接問い合わせることをおすすめします。
計算例
①路線価方式
路線価方式の土地評価額は以下の式で求められます。
評価額 = 路線価 × 土地面積
具体例として
- 路線価:200,000円/㎡
- 土地面積:120㎡
- 評価額 = 200,000円 × 120㎡ = 24,000,000円
この例では、相続税や贈与税の計算に用いられる土地の評価額は2,400万円となります。
②倍率方式
倍率方式の土地評価額は以下の式で求められます。評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率
具体例として、
- 固定資産税評価額:5,000,000円
- 評価倍率:1.1
- 評価額 = 5,000,000円 × 1.1 = 5,500,000円
この例では、相続税や贈与税の計算に用いられる土地の評価額は550万円となります。
なお、倍率方式では、固定資産税評価額が市町村によって設定されるため、地方自治体からの通知が基準となります。
固定資産税評価額は以下の方法で確認できます。
固定資産課税台帳の閲覧
市町村の役場や税務課で「固定資産課税台帳」を閲覧できます。手続きには本人確認書類が必要です。
固定資産税の納税通知書
毎年、市町村から送付される「固定資産税納税通知書」に評価額が記載されています。
おわりに
いかがでしたでしょうか。次回も引き続き土地の評価について解説をしていきます。