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Toggle〇税額控除とは
相続税には各種控除が設定されており、条件を満たすと税額を減らすことができます。今回はよく使われる控除項目についてみていきます。
〇基礎控除
課税対象外となる基本的な控除額です。一般的な家族が相続税の負担なく財産を引き継げるよう設定されています。計算式は下記の通りとなっています。
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
具体的には、
・法定相続人が配偶者と子供2人の場合(3人)
3,000万円 + (600万円 × 3) = 4,800万円
・法定相続人が配偶者と子供1人の場合(2人)
3,000万円 + (600万円 × 2) = 4,200万円 となります。
注意点としては、
相続放棄をした人も法定相続人としてカウントすること、養子の場合、実子1人までは人数に含めること、相続を受けない法定相続人も人数にカウントという点が挙げられます。
〇配偶者の税額軽減(配偶者控除)
配偶者が相続により取得した財産のうち、配偶者の法定相続分(配偶者の法定相続分までの金額)又は1億6,000万円のいずれか大きい金額まで非課税となります。
適用条件は、下記になります。
・婚姻関係が相続開始時に有効であること
・配偶者が日本国籍を有するか、日本に住所があること
・申告期限内に申告書を提出すること
また、適用にあたり注意すべき点として、相続時精算課税を受けた財産は含まれないこと、生命保険金や退職金の非課税枠は別枠で適用されるということ、配偶者が相続放棄した場合は適用不可という点に注意が必要です。
〇未成年者税額控除
こちらは相続人が20歳未満の場合に適用される控除で、控除額の計算は
10万円 × (20歳までの年数)となります。
例えば、15歳の相続人の場合
成人までの残り年数は5年(20歳 – 15歳)なので、
控除額は10万円 × 5年 = 50万円となります。
適用にあたってのポイントとして、
・養子も実子と同様に控除の対象
・代襲相続人も条件を満たせば適用可能
・相続放棄した場合は適用不可
という点が挙げられます。
〇障害者控除
相続人が85歳未満の障害者のとき、相続税の額から一定の金額が差し引かれます。
・一般障害者控除の場合は、85歳までの1年につき6万円が控除の対象となります。50歳の場合は(85歳 – 50歳) × 6万円 = 210万円となります。
・特別障害者の場合、 85歳までの1年につき12万円 が控除の対象となります。
上記に同じく50歳の場合は(85歳 – 50歳) × 12万円 = 420万円となります。
ここでいう一般障害者は、身体障害者手帳3級~6級所持者、精神障害者保健福祉手帳2級・3級所持者、療育手帳B所持者、その他これらと同程度の障害がある人が該当します。
複数の障害がある場合も重複適用はない、相続放棄した場合は適用不可 という点に注意が必要です。
〇相次相続控除
10年以内に2回以上の相続が発生した場合に適用されます。
前回の相続で支払った相続税の一部が控除可能で、相続時からの経過期間により控除額が逓減します。
・前回の相続開始から10年以内であること
・前回の相続で相続税を納付していること
・前回相続した財産が今回の相続財産に含まれていること が適用条件となります。
〇終わりに
税額控除いかがでしたでしょうか。相続税申告書は基本的に専門家にお願いすることが多いのですが、こういった控除が使えるという点については頭の片隅に入れておくとよいかもしれません。