今回は前回に引き続き、相続の基本についてみていきたいと思います。
今回は相続発生後のスケジュールについて解説をしていきたいと思います。
目次
Toggle相続のスケジュール(最初の1か月)
【速やかに】公共料金の名義変更、解約手続き
電気ガス水道等の公共料金の名義が被相続人(お亡くなりになった方)であり、
被相続人の口座から利用料金が引き落とされている場合は、口座の凍結によってライフラインがストップしてしまう可能性があるので、早めに名義変更を行いましょう。
【速やかに】金融機関への連絡
各種料金の引き落と}を防ぐため、可能な限り早めに金融機関へ連絡をします。
【7日以内】死亡届の提出
親は死亡の事実を知った日から7日以内に死亡届の提出をする必要があります。
死亡届については、被相続人の死亡地、本籍地の市役所、区役所等の各役場に提出が可能です。
届出の際には死亡診断書、または死体検案書の添付が必要となるため、医師に発行を請求しましょう。
【10日以内】年金の受給停止手続き
被相続人が厚生年金の受給権者だった場合、受給権者死亡届を死亡後10日以内(国民年金は14日以内)に提出する必要があります。
【14日以内】国民健康保険証の返却
国民健康保険は死亡によって資格喪失となり、死亡後14日以内に、市区町村に対して保険証を返納する必要があります。
【14日以内】介護保険の資格喪失届の提出
上記と同様に死亡後14日以内に、資格喪失届を市区町村へ提出する必要があります。
【14日以内】世帯主変更届
被相続人が世帯主だった場合は、死亡後14日以内に、同一世帯の方または代理人が、市区町村に世帯主変更届を提出しなければなりません。変更後の世帯主には、15歳以上であれば誰でもなることができます。
【1か月以内】遺言書の確認
遺産の分割に重要な意味を持つ遺言書が存在するかどうかを確認する必要があります。
遺産分割において遺言書の内容は基本的に何よりも優先されるために相続人に大きな影響を与えます。相続人全員がその内容を棄却することに合意しない限り、相続は遺言通りとなります。
【1か月以内】相続人の確定
戸籍謄本などの書類を集めて、正確な相続関係を把握した上で遺産分割協議を行います。
後に参加していない相続人がいることが判明した場合、その協議は無効になります。
故人の戸籍を確認することで、前妻との子供や養子などの他の相続人がいないか確認します。また、相続人の現在の戸籍も取得して、相続開始時点で生存していて相続の権利があることを証明します。相続関係が確認できたら、相続の優先順位を確認します。
【1か月以内】相続財産の調査
相続財産は預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、ローンなどのマイナスの財産もあり、種類も多岐にわたるためすべてを把握するには時間を要しますので、相続発生からおおむね1~2か月までには着手したいものです。親子関係が良好で遺言書が作成済み、または対象となる財産が非常に限定的かつ時間に余裕がある場合は自分で調査することも考えられますが、基本的には専門家(税理士・司法書士など)に豪相相談するのが最も確実です。
相続のスケジュール(1月経過以降~)
【3か月以内】相続放棄、限定承認
相続放棄(相続人が遺産の相続を放棄すること)や限定承認(プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続すること)については、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時(自分が相続人だとわかったとき)から3か月以内に行う必要があります。
【4か月以内】準確定申告
確定申告が必要な人が亡くなった場合、相続人は故人の代わりに死後4ヵ月以内に税務署で所得税の申告、準確定申告をおこなわなければなりません。
準確定申告では、1月1日から亡くなった日までの所得を申告します。また、3月15日までに亡くなり、前年分の確定申告をしていなかった場合は、前年分の申告も必要です。
【申告期限(10か月)まで】遺産分割および協議書の作成
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を決める遺産分割協議をおこないます。遺産分割協議では誰がどの財産を(マイナスの財産を含む)どれくらい相続するかを協議し、協議が終わりましたら協議書を作成します。名義変更などの手続きをスムーズにおこなうために、明確に記載することが重要です。こちらは基本的に時間がかかる場合が多いので、可能な限り早めに行っておくことが重要です。
【申告期限(10か月)まで】預貯金の名義変更
故人が保有していた金融機関や証券会社の口座について、名義変更や解約をおこないます。銀行や証券会社ごとに相続手続方法が決まっているため、各会社に問い合わせましょう。
【申告期限(10か月)まで】相続税申告書の提出
相続財産の分割方法が決まったら、相続財産の評価額を算定後、相続税がかかるかどうかを計算します。相続税がかかる場合、10ヵ月以内に相続税の申告と納税をする必要があります。なお、相続税の納税は、期限までに現金で一括で納付するのが原則です。
終わりに
相続税の申告については、以上となります。
なお、仮に遺産分割協議が終わっていなかったとしても申告をする必要があります。その場合は未分割の申告という法定相続分で算出した値をもとに申告をし、後日修正申告をする必要があります。